DMMの多彩な事業を支えるエンジニア技術とスピード感。DMM TECH VISIONを掲げるCTOが語る、新卒エンジニア採用と課題解決とは?

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動画配信やオンライン英会話、ゲームなど多彩な事業を手掛ける合同会社DMM.com(以下、DMM)。水族館の運営や太陽光発電、さらにはケニア産ワインの輸入や消防車両の開発・製造といったニッチな分野でも事業を展開しています。事業化を次々と可能にする背景には、確かなエンジニア技術と非上場企業だからこそのスピード感がありました。DMM TECH VISIONを掲げDMMのテックカンパニー化を目指すCTOの松本さんに、新卒エンジニア採用への考えやご自身についてお聞きしました。


プロフィール

松本 勇気:合同会社DMM.com CTO



ー新卒エンジニア採用についてお聞かせください

Q21年卒採用の概要や人数、求める学生像を教えてください

新卒エンジニアは毎年20名程を採用しています。21年卒でも20人前後の採用を予定しています。募集職種についてはあまり区切ってはいません。20名の中にiOSやAndroidなどのネイティブ系の人もいれば、VR系やマシンラーニング系の人もいる。インフラが出来る人、サーバーサイドが出来る人など偏りなく採用出来るのが理想だと考えています。

求める学生像としては、技術力は高いに越したことはありませんが、今後はポテンシャルも重視していこうと考えています。エンジニアは目の前にある課題を解決することがとても大事です。課題を解決するためのノウハウは入社後に学んでもらいますが、そのノウハウを素直に吸収出来る人や、ノウハウをちゃんと実践出来る人が良いなと思っています。

ロジカルシンキングも大切です。課題を解決するための組み立てはロジカルであるべきですし、そのロジカルを相手にちゃんと伝えられる能力も求めます。理想を言えば、ロジカルに考えて課題に向き合い、それを言葉でしっかりと相手に伝えることが出来る人。そして素直な人が良いな、と思います。

 

Q:採用のフローを教えてください

エントリー後に技術選考と面接を予定しています。最終面接は僕も面接官をさせてもらいます。また、本選考期前の2週間のサマーインターンは、実際に業務で発生したissueを集めて「誰が一番課題を解決できたのか」を競う形で実施しています。一番ポイントが高い人が表彰されますが、社員よりも課題解決速度が速いんじゃないか?と思う人がいて驚かされたりもします。

 

Q:新卒エンジニアを採用する理由をお聞かせください

新卒採用をすることで「(会社の)文化を変えよう」という狙いがあります。文化の一番の担い手は、まだどこの会社の色にも染まっていないまっさらな、高い技術力を持った新卒の子達だと僕らは考えています。そんな子達がより活躍して、事業を引っ張るぐらいになって欲しいなと思っているので、新卒採用ではそういったポテンシャルを秘めた子達を採用したいと考えています。

 

Q:入社後のエンジニアへの研修に特色があるとお聞きしました

研修制度は僕がCTOになって、ガラッと変えました。それまでは外注していた部分もありましたが、今はほとんど社内で完結させています。研修の一番の狙いは、事業をする中で直面する課題をしっかり解決出来るエンジニアになってもらうことです。そのための素地作りとして、自分がここまでプロダクトを作れるようになった過去の流れを、約3カ月半のカリキュラムに詰め込んでいます。

インフラからデザイン、KPIマネジメントやスクラムなど幅広くカリキュラムとしていますが、すべてをマスタ―して欲しいわけではなくて、それぞれの分野の仕組みを頭の中で理解し、「知識の地図を作る」ことを重要視しています。例えば自分がiOSエンジニアだとして、使いやすいAPIが無い、自分で書こうとなった時に、分からないけれどどう検索すれば答えが見つかるのか、といったことを分かるような。検索するための頭の中の地図作り、インデックスを作れる状態にしたいと思っています。検索出来るのであれば理解したも同然ですからね。

そして大切なのは、「僕達は課題解決をするために、協働しなくてはならない。その時に自分の職責範囲を閉じるのではなく、連携が出来る、周囲に影響を与えられるエンジニアにならなくてはいけないよね」というスタンスです。広い範囲を学び、更にその中で自分の専門とその周辺への理解を深めることで課題解決に繋げていけると思っています。

 

■研修の詳細についてはこちらの記事をご覧ください■

→新卒技術研修がスタート

https://inside.dmm.com/entry/2019/04/25/engineer-training-2019

→新卒技術研修が終わりました

https://inside.dmm.com/entry/2019/10/03/engineer-training-2019

 

Q:採用において、学生さんのどこを重視していますか?

自分の頭でどう考えて物事に打ち込んできたか、という部分です。「仮説思考」という言葉が最適なのかは分かりませんが、例えば技術を一つ採用するにしても「なぜその設計にしたのか、なぜそれを使うのか」という問いに対してしっかりと説明出来ることを求めます。他人から言われたから、ではなく自分の意志として取り組んでいるかどうかも見ますね。僕は意志があるところに改善が生まれると考えているからです。

サポーターズが開催している1on1イベントでは、お互いに近い距離で向き合っている分、嘘をつきにくいと思っていて、なのでそこを徹底して聞いていくということを意識しています。僕は1on1イベントに毎回出ているわけではないですが、新卒採用を重視しているという本気度を伝える意味でも出られる時は出るようにしています。

ーDMMについて、そしてCTOである松本さんについてお聞かせください

QDMMCTOになるまで、松本さんはどのようなキャリアを歩まれましたか

大学3年生のころに起業をしたのが、エンジニアとしてのキャリアのスタートでした。「CTOをやります」と言ったものの、エンジニア経験はゼロ。ARとSNSの掛け算のようなプロダクトを作るスタートアップでした。それを1年ほど続けながら必死にコーディングを覚え、それから知人の会社の立ち上げの手伝いや開発をし、大学4年生の1月にgunosyに入りました。

gunosyでは、まずアルバイトとして開発を担当し、その後に社員登用されて、執行役員、CTOを務めました。入社当初はデータ基盤系のデータ整理をやり、その後はアプリ開発をしていました。1年間でメジャーアップデートを3回くらいやったこともあります。iOSを自分だけで書き上げたり、Androidにも手を出してみたり、サーバーサイドを書き換えたりといった、機械学習以外の全般をやっていました。

CTOになったのは上場直後です。CTOになってからも、自分でゴリゴリとコードを書いたりしていました。CTOは、自分でコードを書けなきゃ駄目だと思うんですよ。マネジメントの人でもあるけれども、同時に技術の人なので。

2018年の初頭、自分で起業しようかと考えていたタイミングで、僕の前任のCTOだった城倉さんと出会い、DMMという会社に深く興味を持ちました。他にもいくつかお話はいただいていたんですが、自分の中では「起業するかDMMかどちらか」だなと。そこからDMMの状況を調べたりする中で、「この会社は面白そうだ、日本の課題に向き合うならば、大きい会社の方が有利だな」と思い、DMMのCTOになる道を選択しました。

 

QDMMの強みやDMMだから出来ることがあれば教えてください

意思決定の早さは非常に大事な要素だと思っていまして、そこは上場企業と比べて圧倒的な強みです。僕自身も会社を上場まで持って行った経験があるので、上場企業と非上場企業の違いを肌で感じますが、DMMは意思決定がとにかく早く、上場企業であれば取締役会にかけるような事項でも、最終的に会長の亀山がOKを出せばそれで先に進みます。その早さが新規事業の多さにも繋がっていると思いますし、スタートアップの事業で何十億円という資金が必要だったとしても「儲かりそうならばやってみれば良いじゃん」という感じで物事が決まっていきます。

通常だったら10億、20億の事業を展開して失敗すると、会社の利益計画に響くので慎重になると思いますが、DMMは「やってみよう!」というスタンスです。その背景には自由に使えるキャッシュが豊富だということがあるかと思います。

「10年で300事業作ろう」という話がされるほど、DMMでは新規事業がどんどん生まれています。この規模の会社で、VRをちゃんとやろうとしている、やれている会社はDMMくらいじゃないでしょうか。市場が小さくても、そこに可能性があれば迷わず投資をすることが出来るんです。

人材面を見ると、中途で入ってくる方々の中に他社でCTOやCIO、役員だったりするような素晴らしい技術を持った人がたくさんいます。僕が夜な夜な直接会いに行って、採用をしています。一例を挙げるとすれば、Androidの世界では著名な釘宮というエンジニアが中途で入社してくれました。この人は技術はもちろん人格も素晴らしい方です。オウンドメディアに登場してインタビューをしてくれたりもしています。

 

■釘宮さんが登場するインタビュー記事はこちら■

https://inside.dmm.com/entry/2019/09/12/yondemasu01

 

Q201812月に公開し、話題になったDMM TECH VISIONについて教えてください

CTOに就任する際に、DMMをテックカンパニーにしてほしいという要望を受けていました。CTOに就任してからの1カ月は、社内でずっとヒアリングをして課題整理をしていましたが、そこで浮かび上がった課題をひっくり返して掲げたのがTECH VISIONという方針です。当たり前のことを言っているだけですが、改革の途上で立ち返る原点や方針を明確に定めたにすぎません。

 

■DMM TECH VISIONについての詳細はこちら■

https://inside.dmm.com/entry/12/12/dmm-techvision

 

そのTECH VISIONを支えるのが、次の4つのTECH VALUEです。

(1)AGILITY:敏捷的

(2)ATTRACTIVE:魅力的

(3)SCIENTIFIC:科学的

(4)MOTIVATIVE:意欲的

これらのVALUEが特に大事だと考えています。このVALUEを徹底して社員全員が気にかけるようになった結果として、当たり前のことが当たり前に出来るようになり、更に新しい当たり前が様々な部分で適用されていくような世界になると良いなと思っています。

 

QTECH VISIONを掲げてから、社内に変化の兆候はありますか?

そうですね、変化してきたなと思います。例えば、僕は今日どのようなミーティングがあって、そこでどんな意思決定をしたのか、そしてその理由といったものを全部VALUEベースで説明、社内で公開しています。それは、社内に対して“why”をしっかりと伝えることが大事だと考えているからで、現在進行している施策をVALUEに紐付けることを重要視しているからです。

AGILITYに紐付く戦略で技術があり、SCIENTIFICに紐付く戦略としてのデータがあって、人事系の戦略はMOTIVATIVEを高くして働こうといったようなものを一つずつ用意して、社員みんなが行う施策は最終的にVALUEに結びついています、というようにすべて明確にします。

それを日々自分の言葉で社員にも伝えていますし、人事評価制度の中のコード評価も4つのVALUEに紐付く形、且つそれが毎月コミュニケーションに反映されるような形に作り変えました。その結果、自然とみんなの口からAGILITYやSCIENTIFICといった言葉が出てくる状態になってきたと感じています。人事部もSCIENTIFICを強く意識して、データの可視化ということをかなり進めています。

 

ーおわりに

Q:サポーターズユーザーには地方在住の学生さんも多いです。地方在住だからこそ、意識して欲しいことはありますか

そうですね。僕も高校までは鹿児島県にいたので、ある程度地方の状況は理解しているつもりです。東京では様々な会社が実施しているインターンも、都市圏以外ではインターンどころかITベンチャーすら存在しない環境です。それを嘆いていても始まらないので、夏休みや冬休みには東京に出てきてインターンを体験したり、Kaggleで世界中の機械学習のスペシャリストと競ったり。行動してみることが大切です。

クラウドワークスなどを使えば、仕事を受注することも出来るので、インターンがなければ仕事をしてみるというのも一つの手段ですよね。それが難しいのであれば、学問をしっかりやりましょう。それは卒論でも研究でも構いません。自分で立てた仮説に対する解決策を考えて試行錯誤する、そして解決するという思考の工程がとても重要だと思っています。

試行錯誤と課題解決、これは事業であっても学問であっても同じです。地方在住だからできないではなく、試行錯誤と課題解決を意識して行動していきましょう。

 

Q:エンジニア学生の皆さんへメッセージをお願いします

エンジニアリングは学ぶばかりでは「知識は豊富ですが、経験はありません」という状態になってしまうことがあります。ただ、それでは実社会では役に立たないので、何か一つを突き詰めてやり切るということが大切ですね。学んだ知識を現場で行使して、そして結果を出すという経験は非常に大事だと思います。

何かをやり切るには、人と関わらなければできません。プロダクトを作れば、少なくともユーザーと関わらないといけない。その関わりがないと、エンジニアリングで世の中にプラスのインパクトを残すことはできないと思っています。

“1+1=2のような計算は出来るけれど、実際の社会では使い物にならない”となってしまうと、たとえどんなに技術力を持っていたとしても、ちゃんと世の中に生かされることがないので勿体無いですよね。エンジニアリングはやっぱり世の中の課題や物事を解決してこそ、です。

※本文中の企業名、役職等は、インタービュー当時のものです。